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小児の筋機能療法(MFT)

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学力も集中力も、すべて「姿勢のしつけ」で決まるわけ

「正しい姿勢を身につけている子どもは自然と集中力が高まり、勉強もできるようになる」と昔から言われてきましたがご存じでしょうか?昔は姿勢が悪いと先生や親に注意をされましたが、最近は注意されなくなったように思います。昔はその理由が明確ではなかったのですが、最近ではその理由が明確になりました。左下図のように脳(神経系)の発育はほぼ10歳で完成されます。

口腔筋機能療法
口腔筋機能療法

また右上図のように脳の器である前頭骨のすぐ下につながっている上顎骨(赤色の部分)の発育も同時期の10歳で完成を迎えます。眼窩、鼻腔、口腔の容積の成長を管理している上顎骨の成長は子供のもっている舌圧が口蓋(上顎骨)にかかる力と鼻からの呼吸によって鼻腔底を押し下げる力の合力によって、成長しその容積が増します。 (下図)

口腔筋機能療法

姿勢が悪いと舌が口蓋につかず低位舌で口呼吸になり、上顎骨及び前頭骨までも発育が促進されず、悪影響を受けます。したがって、この「姿勢のしつけ」は、小学低学年までが最も重要で、10歳くらいまでにはほとんど決まってしまうことになります。子供のしつけ(躾け)で一番大切なことは、その漢字の通り、「いつも背筋を真っすぐに伸ばし身を美しくさせること」につきます。

礼儀作法を表す「しつけ」のように、乳幼児のうちから正しい姿勢を身につけさせることは、子どもにとって一生の財産になるのです。

勉強は何歳からでもスタートできますが、「姿勢のしつけ」は子どものころにしかできません!お子さんの体をチェックし、気になるところがあれば早急に改善していきましょう。林修先生も姿勢の大切さを講演されています。「林修 姿勢」で検索してみてください。

上顎骨の発育を妨害する低位舌の理解は不可欠です。低位舌とは図のように舌が口蓋から離れる舌の状態をいいます。新生児の時からおっぱいの飲ませ方、哺乳瓶の使用法、寝かせ方、抱っこの仕方に気を付け舌の位置が口蓋に密着するようにします。現在の日常生活ではリビングルームにソファーやこたつがあり、正しく使用しないと低位舌になります。代表的な低位舌になる例は以下に示します。

口腔筋機能療法
口腔筋機能療法
口腔筋機能療法
口腔筋機能療法
口腔筋機能療法
口腔筋機能療法

小学生になったころには30kpaに達する舌圧は赤ちゃんの時から舌が上顎に接すること及び鼻からの呼吸により鼻腔底を押し下げる2つの合力のより上顎骨は前方、側方に発育します。ところが幼児期よりお口がポカンと開いていると低位舌(舌が口蓋にない)となり上顎骨の成長が不足し、付随する下顎骨の発育も不足し、成長が止まる頃には顔面の発育、口腔の発育、呼吸器系の発育に大きな影響が出てきます。

口腔筋機能療法
口腔筋機能療法

では、日常生活で何に気を付ければいいのでしょうか? 幼児期からのお座りの方法にも気を付けましょう。足を前に突き出して床に座ることが常態化すると後ろに倒れないようにバランスを保つため、体幹の中心より頭の中心が前に出て(頭部前方位)低位舌になり、口呼吸を誘発します。

よって身長にあった椅子に正しく座らせるか正座させるようにした方が良いと思われます。椅子に座る時は必ず踵が床に着いていて(足底接地)、足の裏に体を乗せるようなイメージで背もたれにはもたれず、姿勢を正すことが大切です。

口腔筋機能療法
口腔筋機能療法
口腔筋機能療法

生まれた時からずっと鼻呼吸の場合、舌が口蓋についていれば継続的な舌圧が上顎骨(眼窩底から鼻腔さらに口腔を作る骨)にかかるためその発育が促進され、中顔面(顔の真ん中)の前方、側方発育が促進され、鼻腔や口腔容積が大きく成長することで鼻の機能も向上し親知らずも生えます。眼窩間距離も広くなり特に前後的に成長します。また前頭骨(上顎骨のすぐ上の大脳の器)発育にも良い影響を与えます。

顔面高(頭の上下的な幅)は低くなるため小顔で長頭型(前後的に幅の大きな頭)になります。(鼻呼吸の場合は歯の位置、上下歯列関係を保つ筋肉はバランスがたもたれます)一方、口呼吸の場合はそのバランスは崩れ、不正咬合を誘発します。(また、口から直接、乾燥した汚れた空気が喉を直撃しますので、呼吸器系の病気にかかりやすくなります。)

頭、顔面の成長と咬合の発達は呼吸機能の影響を受けます。舌が口蓋から離れ、口呼吸になると呼吸パターンが変化し顎を開き、頭を伸展させ気道を開こうとします。顔面の成長が盛んな時期に気道の機能が変化すると、成長が止まるころには顔面の発育に大きな影響が出てきます。

上顎骨が完成する10歳よりもできるだけ早い時期(小学低学年)までであれば MFT(筋機能療法)により簡単な既成装置とトレーニングで歯列、呼吸、筋機能の問題を是正することができ、成長期の子どもに最も効果的です。 不正咬合、叢生の根本原因に働きかけることを目的としています。

口呼吸が筋機能障害を引き起こし、それが様々な症状(不正咬合、顎顔面の劣成長、TMD、SRBDなど)の原因となることを理解した上で、根底にある呼吸障害や筋機能障害に対処ことにより、前述の症状を改善または是正することができます。

MFT(筋機能療法)

親子で協力して始めませんか?

歯並びを悪くしている原因は正しい姿勢が保てなくなることによって生じた主に口呼吸による低舌位です。

お子様の普段の良くない生活習慣による口呼吸が歯並びを悪くしています。一緒にお子様の生活習慣を理解し、それを治すことで正しい顎の発育をさせるように導いてあげませんか? 上顎骨が完成する時期までに始めると効果は期待できます。向上心の旺盛のお子様の効果は大きく装置も少なくてすみます。上顎骨の発育遅延状態や本人と保護者の取り組み方により正常発育にかえる期間は異なります。

当院では正しい姿勢、呼吸、正しい舌の位置に重点を置いた簡単なトレーニングを既成のマウスピース等を用いた筋機能療法を行っています。まずは一度検査等を行いお子様の今の状態を確認していただけるようにご説明いたします。筋機能療法は永久歯が生えるころまでには開始しなければ効果的な改善は難しくなりますのでご注意ください。よって10~12歳からの開始では十分な効果は期待できません

小児口腔機能管理とは

小児口腔機能管理とは